アンディ・ウォーホル作《マリリン》のオマージュ
言わずと知れたポップアートの旗手アンディ・ウォーホルは、映画スターのマリリン・モンローをモチーフに作品を量産しています。本作品では、マリリンがポプ子に置き換えられています。
アンディ・ウォーホルは、雑誌などの印刷メディアに氾濫するマリリンのイメージを、色使いや顔のメイクでバリエーションをもたせながら繰り返し配置しています。何度も反復されたモンローのイメージは実体を欠いた空虚な記号となり、大量生産・大量消費のポップアートの真髄が示されています。
なお、『ポプテピピック』のアニメ一期は、ポプ子が死ぬ運命を変えるためにピピ美が何度もタイムリープ(ループ)している設定が最終回で明らかになりました。
悲劇的な運命を背負っているマリリンとポプ子が重なり、カラフルな画面ながら不穏な雰囲気が漂っているように感じました。
岡本太郎作《太陽の塔》のオマージュ
岡本太郎がデザインした《太陽の塔》をピピ美に見立てた作品です。
太陽の塔オフィシャルサイトによると、塔の頂部には金色に輝き未来を象徴する「黄金の顔」、現在を象徴する正面の「太陽の顔」、過去を象徴する背面の「黒い太陽」という3つの顔を持っています。
過去を象徴する背面にピピ美の顔があり、アンディ・ウォーホルのオマージュ作品内のポプ子と向き合っています。
ポプ子の運命を変えようと何度も何度もタイムリープ(ループ)するピピ美の強い意志を感じました。
KAWSのアートトイのオマージュ
アメリカの現代アーティストKAWS(カウズ)が手がけるアートトイをオマージュした作品。どこかで見たことがあるような(著作権ギリギリの)キャラクターの目をバツ印(×)にしたフィギュアが特徴です。
AC部のフィギュアは、目が↑になって、ボブネミ化しています。
(私自身がKAWSのフィギュアの良さがわかっていないので、特にコメントがないです。すみません…)
キース・ヘリング作品のオマージュ
ストリートアート、グラフィティアートの先駆者キース・ヘリングの作品もオマージュされています。
個人的には「ユニクロの服にプリントされている絵」というイメージなのですが、アートのグッズ化もキース・ヘリングから始まったと言われています。
パワフルで鮮やかな色使いながら、目が↑マークになっていて、ボブネミ化しているのが分かります。
友沢こたお作品のオマージュ
恥ずかしながら、友沢こたおは今回のAC部展で初めて知りました。
スライム状の物質と有機的なモチーフが絡み合う独特な人物画を特徴としており、現在、東京藝術大学大学院在学中の新進気鋭のアーティストです。
ポプ子とピピ美のフィギュアに、スライムがまとわりついて流動する瞬間を写し取った画像が、キャンバスにプリントされています。
特に、真っ黒なタールのようなスライムは見ているだけで息がつまりそうで、強烈なインパクトです。
『ボブネミミッミ』のアニメは、キャラの動きがぬるっとしていたので、スライムのヌメヌメ感とマッチしていると感じました。
本家の友沢こたおの作品は、写真ではなく油絵で手描きされているとのことで、いつか生で見てみたいと思いました!
ゲルハルト・リヒター作《Strip》のオマージュ
ドイツ最高峰のアーティスト、ゲルハルト・リヒターの《Strip》のオマージュ。過去に制作した抽象絵画をスキャンしてデジタル加工を繰り返し、カラフルな線(帯)に引き伸ばしたシリーズです。
赤、青、黄、白の色彩で、ポプ子とピピ美の姿が表現されています。背の高いピピ美は縦長のキャンバスで、小柄なポプ子は正方形のキャンバスに描き分けられています。
高速で動く残像を見せられているようで、遠近感や時間感覚を失う「違和感」を味わうことができます。
KYNE girlのオマージュ
KYNE girlをボブネミミッミ化。KYNE(キネ)は、福岡を拠点に活動するアーティストで、日本画をベースにストリートアートへ昇華させたと言われています。
シンプルかつミニマムな表現で描く都会的な女性のイラスト(KYNE girl)を、福岡の街中に貼り付ける活動で認知度を上げ、現在では広告やミュージシャンのジャケット写真などでも取り上げられるようになりました。
ライフスタイル誌『カーサ・ブルータス』コーヒー特集の表紙を飾ったイラストを、パロディ化しています。
ピピ美が持っているコーヒーカップにはドトールのロゴマーク。コーヒーチェーンを見下して、隠れ家カフェ的なコーヒーをありがたがるのスノッブさ、周りの評価で踊らされる消費者を皮肉っているように感じました。