こんにちは!佳琳です。
「体が資本」「健康第一」という言葉がありますが、自分の体にちゃんと向き合ったことはありますか?
「がん」と聞くと高齢者がかかる病気というイメージがありますが、最近、20~30歳代の若い女性に急増しているがんがあります。
「子宮頸がん」です。
子宮頸がんはウイルス感染によって発生する病気で、予防にはワクチンが有効です。一方で、日本では接種による副作用の危険性が盛んに報道されたため、「子宮頸がんワクチン=怖い」というイメージを持っている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
私は子宮頸がんワクチン(シルガード9)を実際に打ってみたので、接種までの流れや気になる副作用について、実体験に基づいてご紹介します。
「それでも子宮頸がんワクチンは不安…」という方には、ワクチン接種以外にも今すぐ取り組める子宮頸がん対策についてまとめました。
子宮頸がん対策を知りたい方やワクチン接種を受けるかどうか検討中の方は、ぜひご覧ください!
- 1.子宮頸がんとは
- 2.子宮頸がんの原因
- 3.子宮頸がんを予防するために
- - 対策1:子宮頸がん検診
- - 対策2:HPV検査
- - 対策3:HPVワクチン
- 4.終わりに
子宮頸がんとは
子宮の入り口(子宮頚部)にできる女性特有のがんです。20歳代後半から30歳代にかけて、子宮頸がんになる人が急増します。日本では年間1万人超が子宮頸がんと診断され、3,000人近くが亡くなっています。
2019年10月、国立がん研究センターが発表した若年層のがん集計によると、20~30歳代のがん患者の約8割は女性が占めています。
若年層のがん疾患データを分析すると、子宮頸部上皮内がんが最多で、次に乳房上皮内がんの順でした。つまり、25歳以降のがん患者の急増は、女性における子宮頸がんと乳がんの増加によるものだと、同発表では結論づけています。
集計データを見ても、子宮頸がんは若者にも身近な病気で、決して他人事ではないということが分かると思います。
子宮頸がんの原因
では、子宮頸がんはどうやって発症するのでしょうか?
子宮頸がんは、性交渉によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で起こります。
HPVに感染しても、通常は免疫力によってウイルスは体内から自然消滅します。しかし一部の人はウイルスを排除できずに感染が持続し、その細胞が変化します。この状態を「異形成」と言い、何年か経てからがんになります。
異形成の時期や初期の子宮頸がんでは自覚症状がほとんどなく、自身で気付くのは困難です。HPVに感染してからがんに進行するまで、平均約5年から十数年と長い年月がかかります。一方で、早期に発見して治療できれば、ほぼ100%治ります。
そのため、自覚症状がなくても、子宮頸がんの検査・予防に取り組むことが重要です。
子宮頸がんを予防するために
子宮頸がんを予防するために、私が実際に行っている3つの対策「子宮頸がん検診」「HPV検査」「HPVワクチン」について、ご紹介します。
対策1:子宮頸がん検診
国が推進するがん検診の一つで、20歳以上の女性は2年に1回、受診することが推奨されています。
子宮頸がん検診には、問診、視診、内診などの検査項目がありますが、中でも「細胞診」は子宮頸がんの死亡率を減少させることが科学的に認められています。
細胞診とは、ブラシのついた専用の器具で子宮頸部をぬぐって細胞を採り、異常な細胞を顕微鏡で調べる検査です。個人差はありますが基本的に痛みもなく、30秒から1分で終了します。
各健康保険組合や自治体から、検診費用の全額または一部が助成されます。例えば、全国健康保険協会(協会けんぽ)では、偶数年齢になる年に無料で受診可能です。
加入する健康保険組合で子宮頸がん検診が実施されない場合でも、お住まいの市町村からの補助によって2年に1回、受診できます。
私も検診対象年齢の20歳になってからは、自治体の検診クーポンや職場の健康診断を活用して、毎年欠かさず受診しています。
対策2:HPV検査
HPV検査では子宮頚部から細胞を採取し、ウイルスの感染有無や感染したHPVの型を調べることができます。
実はHPVには100種類以上のタイプがあり、特にHPV16型と18型が子宮頸がんに進展するリスクが高くなっています。ハイリスク型HPVに感染しているかどうか調べることで、子宮頸がんの予防や早期発見に役立てられます。
残念ながらHPV検査は、一般的な子宮頸がん定期検診には含まれていません。原則、保険適用外の自費診療となり、負担額の目安は5,000~1万円程度です。
「検査のためにそこまでお金を出せないよ」という方には、無料でHPV検査をできる方法をご紹介します!
公益財団法人性の健康医学財団が、HPVウイルス検査を無料で実施しています。
対象は18歳以上80歳未満の女性で、毎年先着500名が無料で検査を受けられます。
私も2021年夏に、性の健康医学財団のHPV検査を受けました。性感染症の予防・啓発や性の健康に関する医学研究を行ってきた歴史ある団体なので、安心して検査を依頼できました。
検査を受けるまでの流れをご紹介します。
性の健康医学財団のHPV調査
自宅で検査キットを使って検体を採取し郵送する検査方式です。婦人科の受診が苦手な方や通院の時間を取れない方も手軽に検査ができます
手順1:検査の申込み
性の健康医学財団公式ホームページのお問合せフォームに必要事項を記入して、検査を申し込みます。
手順2:検査キットで自己採取
財団から検査キットが郵送されるので、案内に従って検体を採取します。
返信用封筒も同封されているので、同意書、アンケート、検体を入れて返送します。
手順3:検査結果の通知
3ヶ月以内に検査結果が郵送で届きます。幸いにもHPV陰性の通知が届き、一安心しました。
HPV陽性の場合は、婦人科検診を勧められます。
たとえハイリスク型HPVに感染していたとしても、全員ががんになるわけではありません。
HPV16型陽性者のがん発症率が10年間で17.2%、HPV18型陽性者のがん発症率が10年間で13.6%です。
定期的に子宮頸がん検診を受診すれば、がんの早期発見、早期治療が可能になり、結果的に子宮頸がん予防につながります。
併せて、HPV陽性だった場合は、財団から予後調査として、婦人科検診の結果を提出するよう依頼されます。協力は任意ですが、財団の研究に役立てられるので、差し支えない方は調査に協力すると良いと思います。
対策3:HPVワクチン
子宮頸がんの原因となるHPV感染は、ワクチン接種によって防ぐことができます。ワクチンには3週類あり、感染を予防できるHPVの型に応じて、下記とおり分けられます。
2価HPVワクチン | 4価HPVワクチン | 9価HPVワクチン | |
登録商標 | サーバリックス | ガーダシル | シルガード9 |
国内発売 | 2009年12月 | 2011年8月 | 2021年2月 |
定期接種 | あり | あり | なし |
予防するHPVの数 | 2種類 | 4種類 | 9種類 |
予防するHPVの型 | 6、11、16、18 | 6、11、16、18 | 6、11、16、18、31、33、45、52、58 |
実は、HPVワクチンによって子宮頸がん以外のがんや病気も防ぐことができます。
9価HPVワクチンは、HPV6/11/16/18/31/33/45/52/58の9つの型の感染を予防しますが,これらの型のうちHPV16/18/31/33/45/52/58の7つの型は、子宮頸がんのみならず、女性の腟がんや男女ともに外陰がん、肛門がん、中咽頭がんなどの原因となります。また、HPV6・11型は男女の生殖器粘膜にできる良性のイボである尖圭コンジローマの原因の約90%を占めるとされています。
引用元:公益社団法人日本産科婦人科学会
現在、公費負担での接種対象者は小学6年生から高校1年生相当までの女子で、2価ワクチンまたは4価ワクチンを接種できます。
HPVの予防効果が最も高い9価ワクチンは公費の対象外で、全額自己負担になります。9価ワクチンは1回3万円前後かかり、半年間に3回接種する必要があるため、全体で9万円近くの負担になります。
HPV9価ワクチン(シルガード9)接種レビュー
2021年2月の9価ワクチン発売に合わせて、2021年7月に9価ワクチンの接種を始めました。
日本でHPVワクチンの定期接種が始まった2009年の時点で私は対象外年齢になっていたため、今までワクチンを打つ機会がありませんでした。9万円近い自己負担は痛い出費になりますが、将来の健康維持のためにワクチン接種を決めました。
ワクチン接種の流れや副作用についてご紹介します。
手順1:接種予約する
9価ワクチン接種を実施している病院は限られるので、事前予約が必要です。
新型コロナウイルスワクチンを打つ場合は、接種前後2週間は他のワクチンを接種できないため、子宮頸がんワクチンと被らないようにします。
手順2:ワクチンQダイアリーに登録
シルガード9を接種する場合、「ワクチンQダイアリー」の登録が必要です。接種当日もワクチンQダイアリーに情報入力する必要があるため、事前に登録しておきます。
手順3:診察
ワクチンQダイアリーの登録後、診察が行われます。医師からワクチンの説明を受けた後、接種します。
ワクチン接種は全額自己負担ですが、保険証も忘れず持参してください。
手順4:接種
HPVワクチンは、新型コロナウイルスワクチンと同様に筋肉注射になります。
接種後は副作用確認のため、病院内で30分間安静に過ごします。私が接種した病院では、ベッドで30分間横になって休みました。副作用がなければ、帰宅できます。
HPVワクチンは3回接種する必要があり、初回接種から2か月後に2回目、半年後に3回目を打って完了となります。
接種の痛みと副作用
あくまで私個人の場合ですが、注射する際の痛みを強く感じました。中国留学前に接種した狂犬病や肝炎など様々なワクチンと比べても、HPVワクチンが一番痛かったです。針を刺す瞬間はもちろん、ワクチンを注入している時も痛く、接種終了後も腕にジンジンとした痛みが残りましたが、接種後10分もすれば治まりました。
接種後の副作用は、拍子抜けするくらい何も現れませんでした。注射した患部の腫れや赤みもほとんどありませんでした。接種後の症状としては、発熱、頭痛、モデルナアームなどが現れた新型コロナウイルスワクチンの方が、よっぽど重かったです。
私が接種前に受けた診察で医師も「HPVワクチン接種後に副作用が現れた患者を見たことがない」と言っていました。マスコミが喧伝してきたような重篤な副作用が現れるのはレアケースだと思われます。
終わりに
2021年11月、厚生労働省は8年ぶりにHPVワクチン定期接種の積極勧奨を再開し、大きな話題となりました。また、積極勧奨が中止されていた8年間で定期接種のチャンスを失った世代に対する救済策も検討されていると報道されています。
公費によるワクチン接種機会がなかった世代の私はうらやましい限りですが、一番予防効果が高い9価ワクチンを接種することで、子宮頸がんにかかる不安を払しょくできた点は満足しました。
ワクチン接種は痛い出費になりましたが恐れていた副反応もなく、将来の健康のためにも定期接種対象年齢の方はにワクチンを接種してほしいと感じました。
HPVワクチンの予防効果も絶対ではないので、今後も定期的な子宮頸がん検診やHPV検査を継続していきます。
当記事を通して、より多くの人に子宮頸がん対策が広まっていけば幸いです!